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日本大学通信教育部・経済学部・経済学科 |
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科目コード:0744 |
学科選択科目 |
更新日 : 2007/09/16 |
提出したリポート、頂いた講評、科目修得試験に出題されそうなポイントなどを掲載してあります。 |
おことわり |
☆ 特に断りがない報告課題は、「平成17・18年度報告課題」(有効期限2005年3月1日〜2007年3月31日)です。 |
☆ 「科目修得試験に出題されそうなポイント」は、あくまで森野個人が学習する際に分析したものです。 |
☆ 内容についてのお尋ねはご遠慮下さい。 |
課題 Fiscal Policyと租税の機能についてのべよ。
フィスカル・ポリシーとは、景気調節のために政府が意図的に実施する財政政策のことである。ビルトイン・スタビライザー(景気の自動安定化装置)に対し、裁量的財政政策と呼ばれるが、共に財政収入と財政支出の調整を通じて、有効需要を調整している。 フィスカル・ポリシーは、政府の歳出(公共事業)を調整する政策と、歳入(税金)を調整する政策に分けられる。 歳出を調整する政策では、不況時においては政府支出(財政支出)を増やして公共事業を実施して需要不足の解消を狙い、逆に好況時においては政府支出(財政支出)を減らして需要の抑制を狙う。 歳入を調整する政策では、不況時においては減税を行い、国民の可処分所得が増大させることで消費や設備投資を刺激しようとし、逆に好況時においては増税を行い、国民の可処分所得を減少させることで消費や設備投資を抑制しようとする。 さて、政府支出の変化や税率の変更が国民所得にどのような効果を及ぼすのだろうか。ケインズ理論に基づく政府部門を含むモデルで考えてみる。経済は閉鎖的で他国と貿易を行わない。また利息のことも考慮に入れない。 まず、ケインズ型消費関数を C=a+bYd ...@a:基礎消費 b:限界消費性向(0<b<1) とする。次に可処分所得Ydを次のように考える。 Yd=Y-T+R ...AT:税金T=tY(tは税率、0<t<1) R:移転所得 総需要 D は次のように表される。 D=C+I+G ...B I:投資 G:政府支出 式@ABから D=a+b(1-t)Y+bR+I+G ...C が得られる。均衡国民所得では総需要 と総供給 Y が等しいので式Cは Y=a+b(1-t)Y+bR+I+G ...D と表せる。この式をYについて解くと、 Y=1/1-b(1-t)×(a+bR+I+G) ...E が得られる。式Eから政府支出や投資が1だけ増加したとき均衡国民所得は1/1-b(1-t)だけ変化することが理解できる。この増加した国民所得の部分 g=1/1-b(1-t) ...F を乗数gという。式Fから乗数は限界消費性向と税率に影響され、限界消費性向が大きければ大きいほど乗数も大きくなり、税率が高くなれば高くなるほど乗数は小さくなることがわかる。 仮に限界消費性向を6/10、税率を1/10と一定にして乗数を計算すると2.17が得られる。(小数点第三位四捨五入)これは、1兆円の政府支出をしたとき約2兆1700億円国民所得を増加させるということである。 つまり政府支出という自生的(独立的)支出が増えれば、まず所得が増え、所得が増えれば一定の割合の消費が増える。消費が増えれば、この追加的消費に対応する投資が増える、という循環が発生する。この投資は自生的(独立的)投資に対して、誘発投資と呼ばれている。 このように支出や投資が次々に所得を生みだす現象のことを乗数効果といい、誘発投資が起こることを加速度効果、そしてその割合を加速度係数、加速度効果を加味した乗数を超乗数という。 次に税率だけが変化した場合を考える。税率がtからt'に引き下げられた(t>t')とき、総需要関数の傾きも、b(1-t')に変化するので、所得YのときのDは、-bY。(t'-t)分つまり-bY。Δtだけ増加する。このとき消費の変化は新税率t'での可処分所得の変化(ΔY-t'ΔY)にbをかけると、 b(1-t')ΔYとなる。 ΔY=-bY。Δt+b(1-t')ΔY なので、この式から次の式Gが得られる。 ΔY=-bY。/1-b(1-t')Δt ...G式Gは税率が 1だけ増加したとき均衡国民所得が-bY。/1-b(1-t')だけ変化することを示している。これを租税(減税)乗数という。乗数にマイナスが付いているから、増税ならΔtはプラスとなるので租税乗数との積は負となり国民所得は減少する。反対に減税なら積は正となり国民所得が増加することを表している。では、同じ金額、例えば1兆円の政府支出と減税を比較した場合、どちらがより国民所得を増加させるのだろうか。政府支出や投資の増加は直接、国民所得の増加に結びつく。これに対し、減税は式Aからわかるようにまず可処分所得を増加させて、次に限界消費性向分だけの消費増加が最初の所得増加となるからである。これは同じ金額の補助金(政府からの移転所得)の場合でも同様である。 式Fをよく見ると、投資 I、政府支出Gに対して、移転所得Rには限界消費性向bが掛けられている。このことからも上記の内容は説明できる。 |
参考文献 | ||
『ケインズ』 | 吉川 洋 | 筑摩書房 |
『ケインズ』 | 伊東光晴 | 岩波書店 |
『ケインズ』 | 早坂 忠 | 中央公論社 |
『マクロ経済学T入門編』 | N・グレゴリー・マンキュー | 東洋経済新報社 |
『マクロ経済学U応用編』 | N・グレゴリー・マンキュー | 東洋経済新報社 |
広告 ケインズ―時代と経済学 (ちくま新書) |
ケインズ―“新しい経済学”の誕生 (岩波新書) |
マンキュー マクロ経済学 第2版〈1〉入門篇 |
マンキューマクロ経済学(第2版)II応用篇 |
講評
現代の財政は、マスグレイブのいうように、@資源配分A所得配分B経済成長、の3つの役割を果たしています。経済成長については、フィスカル・ポリシィがおおきな影響を有していますが、とくに租税政策、租税構造のあり方が重要です。租税が財源としての面と、一定の政策実現の手段として有効だからです。全体として学習のあとがみられます。 |
課題 租税の転嫁の形態を説明し、生産費・需要の弾力性・市場条件との関係に及べ。
租税の転嫁には前転・後転・更転・消転・還元などの形態をあげることができる。 前転とは、商品の流通過程と租税の転嫁される方向とが等しい場合である。租税負担が生産者や販売者といった財の提供者から消費者や購買者といった財の受領者へ移転する現象である。例えば消費税の場合、商品の販売者に租税を賦課されたとき、販売者が租税額の全部もしくは一部、商品価格を引き上げたとする。これによって販売者は租税負担の全部もしくは一部をまぬがれ、その分の負担を商品の購買者である消費者に転嫁することができる。前転は商品価格の引き上げにつながるから、その商品に対する需要が旺盛もしくは供給の弾力性が少なく他に代わる商品がない場合、生産・販売が独占的で価格が引き上げられても需要が減少する傾向がない場合、消費者・購買者に担税能力がある場合に行われる。 後転とは、商品の流通過程と租税の転嫁される方向とが反対の場合である。例えば商品の生産者に租税を賦課されたとき、生産者が租税額の全部もしくは一部、この商品の生産に関連する費用、例えば賃金や原材料費などを引き下げることができたとする。これによって、生産者は租税負担の全部もしくは一部をまぬがれ、租税負担を労働者や原材料の供給者などに転嫁することができる。 更転とは、前転や後転が次々に起こる場合である。例えば鋼材に租税が課せられ、製鉄業者がその分鋼材価格を引き上げることによって租税が自動車メーカーに転嫁され、さらに自動車メーカーがその分自動車価格を引き上げることによって最終的に消費者に転嫁される場合である。 消転とは、前転も後転も生じず、商品価格がなんら変化しない場合である。生産者に新たな租税が課せられたとき、生産者が生産技術の改善や経営努力などによってこれを吸収してしまう現象である。 還元とは、主に不動産や有価証券に対する租税の負担を他に転嫁することができないため、課税物件の価格が下落することによって生じる現象である。課税物件の購入者は納税するにもかかわらず、取得価格がその分下落していたので、実際には負担感がない。しかし、課税がなければ売却者は物件をより高価に売却することができたのだから、租税負担が購入者から売却者へ転嫁した、つまり後転の一種と考えることができる。 以上のことから、租税の転嫁の問題は租税が価格をどの程度変化させるのか、という問題と考えることができる。ではどの程度まで価格が変化して、租税が消費者に転嫁されるのか。実際に消費者に転嫁されるのか。 セリグマンは、次の各点を挙げこの問題を整理した。 @被課税商品が耐久的で毎年課税されるときは、商品価格が毎年の課税額下落し、租税は還元される。反対に課税が一回で終わる消耗的なものは転嫁が容易に行われる。 A被課税商品の価格が自由競争の下にある場合、価格は限界生産費によって決定される。従って租税の転嫁が行われやすい。 B租税が一般的であるほど、または専一的でないほど、租税のかからない範囲は狭くなる。従って生産者からみれば租税の転嫁は行われにくい。逆に消費者からみれば、租税の負担からまぬがれにくい。 C企業固定資本の移動性の大小は、租税の転嫁の難易に関係する。有利な他の事業へ資本移動することが困難な企業に対する課税は、資本移動が容易で自由な企業より、転嫁しにくいとされる。 D被課税商品に対する需要が固定的であれば、生産者は租税を消費者に転嫁しやすい。反対に需要の弾力性が高い場合は、価格を引き上げ租税を転嫁しようとすれば、需要の減少を招くことから、租税は転嫁されにくい。 E生産上の有利性の差異が存在するということは、価格が自由競争の下にあるということである。この場合課税は生産費の少ない生産者が利益で租税の一部を負担することで、価格競争に打ち勝ち、生産費の多い生産者は市場から排除される。 F一般的傾向として、被課税商品が一定もしくは逓増する生産費で供給される場合と、逓減する生産費で供給される場合を比べた場合、後者の方が消費者に転嫁されやすい。 G租税が余剰利益に課せられる場合、余剰利益は価格決定原因ではなく結果であるから、課税によって価格は騰貴せず、租税の転嫁は生じないとされる。 H租税が小であるほど、生産者は価格を引き上げて需要に変化をもたらすより、自ら租税を負担する。つまり需要供給の均衡が乱されにくいと考えられる。 I租税が差率的なとき、累進または逆進の比率にしたがって、転嫁は促進または弱められる。 |
参考文献 | ||
『租税論』 | 本多直重 | 有信堂 |
『入門 租税論』 | 佐藤進・伊東弘文 | 三嶺書房 |
広告 租税の基本原理とアメリカ租税論の展開 |
租税論 |
現代租税論の展開 |
講評
課題のとらえ方は正確ですし、全体のまとめ方も適切です。転嫁問題は、従来は主として間接税に関連して論じられてきました。しかし、こんにちでは、法人税のような直接税もその可能性があると指摘されています。独占価格の形成がその根拠となっています。今後とも頑張って下さい。 |
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