Home | top | ご案内 | リポート作成 | リンク | |||
経済学概論 | 経済原論 | 経済史総論 | |||||
国際経済論 | 日本経済論 | 租税論 | 国際金融論 | ||||
日本史概説 | 外国史概説 | 人文地理学概論 | 自然地理学概論 | 地誌学 | |||
法律学概論 (国際法を含む) |
国際政治論 | 倫理学概論 | 職業指導 | ||||
社会科地理歴史科 教育法T |
社会科地理歴史科 教育法U |
社会科公民科 教育法T |
社会科公民科 教育法U |
商業科教育法T | 商業科教育法U |
日本大学通信教育部・経済学部・経済学科 |
|
||||
科目コード:0736 |
学科選択科目 |
更新日 : 2007/09/16 |
提出したリポート、頂いた講評、科目修得試験に出題されそうなポイントなどを掲載してあります。 |
おことわり |
☆ 特に断りがない報告課題は、「平成17・18年度報告課題」(有効期限2005年3月1日〜2007年3月31日)です。 |
☆ 「科目修得試験に出題されそうなポイント」は、あくまで森野個人が学習する際に分析したものです。 |
☆ 内容についてのお尋ねはご遠慮下さい。 |
課題 財政赤字と日本経済
我が国の財政収支は、バブル崩壊後ほぼ一貫して悪化している。財政収支が悪化した主な原因として、税収の落ち込みを指摘することができる。長期的な景気低迷による所得の冷え込みや、景気浮揚対策として行われた減税によって、税収そのものが減ったのである。 財政収支が悪化したもう一つの原因として、公共事業費と社会保障関係支出の増大があげられる。バブル崩壊後、国は公共事業を中心とした度重なる経済対策を実施した。また人口構造からくる高齢化を背景に医療費、年金など社会保障関係支出も増加した。 この結果、国債などの借金を除いた歳入と過去の借金の元利払いを除く歳出を比較する、プライマリーバランス(財政の基礎的収支)は赤字続きとなり、 2005年度末における、国と地方の長期債務残高は774兆円に達する見込みである。これだけの債務残高を一気に解消することは不可能であるから、まずプライマリーバランスの均衡を目指す必要がある。しかし国の2005年度予算案でも、プライマリーバランスは15兆9478億円の赤字である。プライマリーバランスを改善させるためには、支出を減らし、税収などの収入を増やすしかない。ではどうしたら税収が増えるだろうか。 考えられるのが、消費税の税率引き上げである。消費税の税率は 1997年4月から地方消費税とあわせて5%に引き上げられた。しかし消費税収の推移を見ると97年度から現在に至るまでおおよそ9〜10兆円台で安定的に推移している。これは消費税の特徴で、仮に景気が低迷しても最低限の消費は行われるから、税収が安定しているのである。したがって消費税率を引き上げることで、税収が確実に増えることが期待できる。また、我が国は少子高齢化社会へと変化している。これは、生産年齢人口の減少も意味する。つまり日本全体としての個人所得も減少するから、今後景気が回復しても所得税収の大幅な増加は見込みにくい。つまり課税のバランスを所得から消費へ動かす必要がある。 だが次のような考えも成り立つ。課税のバランスを変え、消費税率を引き上げたとする。全体として消費税増税額と所得減税額が同じだと、国の歳入は増えないから、所得減税額以上に消費税率を引き上げなくてはならない。また、所得税を変更せず消費税率を上げることも考えられる。しかし税負担率を引き上げると、国民の貯蓄がそれだけ低下することになる。高齢化に伴い個人所得が減っているうえに貯蓄が減少すれば、投資に回る金額も減ることは明らかである。そうなれば経済成長の低下は避けられない。つまりいたずらに消費税率引き上げに頼ることは難しいのである。 また消費税の特徴である税の逆進性にも注意を払う必要がある。複数税率の導入を検討しないと国民の理解が得られない可能性がある。 次に支出、つまり歳出の削減を考えてみる。現在、税収における国対地方の比率は3対2、歳出の比率が2対3と逆転している。そのため、地方財源として補助金や地方交付税が国から地方に交付されている。しかし、国によって細かく使い方が定められている補助金では、地方の財政面での工夫や裁量が制限されており、また自動的に国から与えられる地方交付税によって地方の歳出削減の意欲が下がる、などの問題点がある。このことから、国と地方の財政不均衡関係を変えることによって地方分権を推進し、さらに国と地方の財政改善を図ろうと考えられたのが、国と地方の三位一体改革である。 つまり、三位一体改革によって住民サービスに対する地方の責任を明確にし、サービスと負担の関係を今以上に強化することによって、国全体としての財政の健全化すなわち歳出の削減につなげようという訳である。これにより公共投資も住民サービスにとって本当に必要なものだけに削減できる可能性が出てくる。 しかし、地方分権の名の下に地方自治体間で公共サービスに大きな差がつき、いわゆるナショナルミニマムが保証されない可能性も否定できない。過疎地域を多く抱える自治体などでは独自財源やサービスの効率化にも限りがあると思われるからである。 国が直接行っている年金制度も改革が避けられない。少子高齢化が急速に進んでいるなかで現行の賦課方式年金制度を維持するためには、基本的に負担を大幅に引き上げるか給付を大幅に引き下げるか、しかない。社会保険負担を大幅に引き上げた場合、労働者の生活を圧迫してしまう。逆に年金給付を大幅に引き下げた場合、高齢者の生活を年金によって維持するという目的が果たせなくなる。先般、年金制度改革が行われたが、負担と給付がどうなるのかが見えにくく国民の年金制度への不安・不信を招いている。 積立方式への移行や基礎年金の全額税負担など、負担と給付が見えやすい形に制度のあり方を変更していく必要があると思われる。 |
参考文献 | ||
『経済財政白書』 | 平成17年度版 | 内閣府 |
財務省のweb page |
広告 縮刷版 経済財政白書〈平成18年版〉成長条件が復元し、新たな成長を目指す日本経済 |
講評
財政赤字にいたっていく要因の説明から始めて収入・支出両サイドからの検討、その背景にある少子化問題などよく整理してまとめてあり、分かり易い内容となっていることを評価します。難しいことではありますが、政府などの一般論としての説明に止まらず貴君の見解を、とくに対応すべき政策論として述べられれば、さらによかったと思います。 |
課題 少子高齢化が日本経済に与えるインパクト
我が国の人口が長期にわたり減少していくことは避けられない。人口が減少するのは出生数より死亡者数が多くなるからである。人間の寿命には限界があるので、高齢者が増加することは死亡者数の増加につながる。対して出生者数は 1974年以降現在に至るまで減少し続けている。既に2004年次における出生児数と死亡者数の差はわずか10万人程であり、2005年次にはこれが逆転すると予測できる。その結果2030年に我が国の人口は国立社会保障・人口問題研究所の中位推計では1億1760万人程、政策研究大学院大学の藤正巖教授の推測では1億790万人になるとされる。2000年国勢調査人口が1億2692万人であるから、7〜15%の人口減少が今後25年間に生じるのである。人口が減少するということは経済成長も必然的に低くなるということである。ここでは経済成長として GDPの拡大を考える。GDPの拡大は投資と労働力に左右され、労働力は労働生産性と労働者数によって決定される。しかし労働者数、例えば我が国の 15歳から64歳までのいわゆる生産年齢人口は1995年をピークに減少を始めていて、2000年国勢調査による生産年齢人口8638万人に対し2030年では6957万人と20%程の減少が推測されている。また生産年齢人口の減少は、基本的に貯蓄の減少を招く。我が国全体として見たときに、働き手が減っていくことで国民の貯蓄余力は低下するのだから当然である。また「ライフサイクル仮説」からもこのことは予測できる。貯蓄の減少は投資の減少につながるから、その意味でも労働者数の減少は GDPを押し下げる要因となる。これに対し、現在就労していない女子労働者や高齢者を活用すれば、労働者数の減少を防ぐことができるのではないか、という考えが出てくる。 現在我が国の 2002年における65〜69歳の労働力率は35.5%、70〜74歳で22.2%である。対してEUでは7.2%と2.7%、アメリカでは26.1%と14%となっている。つまり現時点でも、我が国の高齢者の労働力率は他の先進諸外国より10〜20%近く高い。このことから高齢者を現在以上に活用するためには、相当な工夫が必要であると思われる。では女子労働者の活用はどうだろうか。確かに生産年齢人口における女性の労働力率は 2002年で59.7%である。これはアメリカの70.1%と比べると10%近く低い。これは我が国の女子労働者の就労パターンが、結婚・出産・育児等のために労働市場からいったん退出し、その後育児に手間がかからなくなると、再び労働市場に復帰するという特徴を持っているからである。これは女性年齢階級別労働力率をみるといわゆるM字カーブを描いていることから明らかである。このことから女子労働者の活用のために、より一層の育児支援等の施策が必要であると思われる。 しかし仮に女性の労働力率が上昇しアメリカと同程度の 70%になったとしても、それによって増加する女子労働者数は2002年の時点で440万人程度であって労働者数の減少を食い止める決定打にはならない。これらのことから少子高齢化によって日本経済の成長が低くなっていくことは避けられないと考えられる。 では、社会保障制度はどのような影響を受けるのだろうか。少子高齢化によって生産年齢人口は確実に減少する。労働力人口と高齢者人口の割合は、 2000年では労働者3人に高齢者1人だったが、2030年には労働者1.5人に対し高齢者1人となると予測される。このような環境のなかで現行の賦課方式年金制度、つまり高齢者への給付を同時期の非高齢者が負担するというしくみを維持するためには、基本的に負担を大幅に引き上げるか給付を大幅に引き下げるかしかない。また高齢者の絶対数が増えることから医療費の増加も避けがたい。必然的に医療保険料負担も増えることになる。 仮に年金と医療保険を合わせた社会保険負担を大幅に引き上げた場合、労働者の所得水準も大幅に向上しない限り、彼らの生活を大きく圧迫してしまう。しかし少子高齢化によって日本経済の成長が低くなっていくなか、労働者の所得水準だけが大幅に向上するとは考えにくい。逆に年金給付を大幅に引き下げた場合、高齢者の生活を年金によって維持するという目的が果たせなくなるおそれがある。また増税によって不足財源を賄おうとすれば、人口の減少に伴って減っている貯蓄をますます少なくするだろう。とすると経済の一層の縮小は避けられない。 つまり少子高齢化によって現行の社会保障制度を維持していくことには、かなりの困難があることが明白である。したがって年金制度の積立方式への移行や基礎年金の全額税負担など、制度のあり方を大きく変更していく必要があると思われる。 |
参考文献 | ||
『「人口減少経済」の新しい公式』 | 松谷明彦 | 日本経済新聞社 |
データブック 国際労働比較2005 | 独立行政法人 労働政策研究・研修機構 | |
厚生労働省のweb page | ||
国立社会保障・人口問題研究所のweb page |
広告 「人口減少経済」の新しい公式―「縮む世界」の発想とシステム |
2020年の日本人―人口減少時代をどう生きる |
人口減少社会の設計―幸福な未来への経済学 (中公新書) |
データブック国際労働比較 2007年版 (2007) |
講評
多角的な検討の視点に立って、要領よくまとめていることを評価したいと思います。経済成長に伴う労働力問題、女性の活用、また年金負担などの財政にもふれていますので少子化を全体として理解、説明する態度として適切であると思います。経済成長力の低下に対応すること、自分なりに思うことを積極的に述べられることを期待しています。 |
Home | top | ご案内 | リポート作成 | リンク | |||
経済学概論 | 経済原論 | 経済史総論 | |||||
国際経済論 | 日本経済論 | 租税論 | 国際金融論 | ||||
日本史概説 | 外国史概説 | 人文地理学概論 | 自然地理学概論 | 地誌学 | |||
法律学概論 (国際法を含む) |
国際政治論 | 倫理学概論 | 職業指導 | ||||
社会科地理歴史科 教育法T |
社会科地理歴史科 教育法U |
社会科公民科 教育法T |
社会科公民科 教育法U |
商業科教育法T | 商業科教育法U |