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日本大学通信教育部・経済学部・経済学科 |
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科目コード:0223 |
教職課程教科 |
更新日 : 2009/06/20 |
提出したリポート、頂いた講評、科目修得試験に出題されそうなポイントなどを掲載してあります。 |
おことわり |
☆ 特に断りがない報告課題は、「平成17・18年度報告課題」(有効期限2005年3月1日〜2007年3月31日)です。 |
☆ 「科目修得試験に出題されそうなポイント」は、あくまで森野個人が学習する際に分析したものです。 |
☆ 内容についてのお尋ねはご遠慮下さい。 |
課題 国家間関係から新しい国際主体の登場による国際社会の変容についての展望を論じなさい。
国際社会の形成は主権国家の成立に始まる。主権国家の形成によってヨーロッパ国家系といわれる国際社会の原型が成立した。これを支えたのは国家主権の概念だった。 中世ヨーロッパの秩序を排除して領域国家が形成され、その絶対王政の自己主張として打ち出された主権は、対外的にはローマ教皇や神聖ローマ帝国皇帝の普遍的権威に対する自立性、対内的には領土とそこに居住する住民に対する支配の確立だった。 後者を国家主権とは国家権力の最高絶対性、と位置づけたのがジャン・ボダンだった。これにより権力を国王に集中するという中央集権的絶対主義国家の概念が成立した。その後ウェストファリア条約によって領土主権が確認されたが、こうした主権国家間の相互関係、すなわち国際秩序はどうあるべきかをグロチウスは『戦争と平和の法』で明らかにした。これにより近代国際社会における国家主権平等の原則が確立した。その後ジョン・ロックによって主権者の概念は国王から人民へと移行していった。これにより主権国家は、市民の自由の保障者としての共通の価値基準を担うとともに、国家の自然的自由の概念を前提にして、バランス・オブ・パワーによる国際秩序が構想された。 国際関係が主権国家の相互関係として現れるとき、その国家の構成単位はネーション(国民・民族)である。主権国家の形成・発展はナショナリズムの登場でもあった。民族自決や国民国家の形成とは、民族意識の自覚が政治意識や行動の高まりとなり、その結果ネーション内部において統一政府を樹立し、政治的に独立をして国際社会において主権を獲得することである。つまりヨーロッパ国際社会におけるナショナリズムは、国民国家の成立すなわち集権化としての国民化と、民主化としての国民化に整理できる。 このようにヨーロッパ国際社会に成立した国際システムは、諸国の独立、つまり国家主権の貫徹が対内的主権としての国家の統一から一定の国際関係の形成にいたる対外的主権の行使を前提としている。国家主権は、国家における最高権威として国際法に優越しているが、国際的には相互に独立、平等、自由である。この国家主権に内在する矛盾を諸国民の共同体によって公法的に調整したものが国際法であり、各国の外交の行使によって網の目のように作られた関係の状態を、勢力均衡(バランス・オブ・パワー)という。国家主権の概念、国際法の整備、勢力均衡の政策の3点がヨーロッパ国際システムの特質である。 その後、資本主義の発展と自由貿易主義に伴う経済支配から、ヨーロッパ先進国民国家は植民地支配を拡大し、帝国主義が形成された。国際資本により世界は経済的に分割され諸国は対立した。その最大の事件が第一次世界大戦だった。 現在の国際システムは、3つの構成要素からなっている。第一は国家である。国家はこれまでと同じ国際関係を担っている。第二は国際組織である。制度的公共財ともいえる。機能的公共財である、国際協調ルールとともに二重構造となっており、国際統合関係を形成している。第三は個人及び非政府間国際組織である。国際企業とともに、トランスナショナル関係を形成している。 今まで国際秩序の安定化は、覇権国によるレジームという国際公共財の提供および秩序維持に負うところが大きかった。しかし、 1970年代以降NGOが他国のNGOと連携して、これまでの政府中心の交流からNGOを基礎とした交流へと新しい動きを作り出している。このように、内政の変化が直ちに国際システムの変化を引き起こし、その逆にシステムが内政に作用する現象をリンケージ現象という。そこで注目されるのがトランスナショナルである。トランスナショナル(脱国家・民際)とは、国際組織の発達とともに市民が参加した国内の非政府組織が国際的リンケージを形成していることを指している。国内の個人、組織、企業が対外交渉と対外政策を通じて新たな国際関係を形成している。これらを非国家行為体という。国際民間団体 NGOは現在1万余を数え、人権・軍縮・平和・開発・環境などの諸分野で活動している。その一部は国連経済社会理事会の審議にも参加している。国際連合は、政府間国際組織であるがその国際機能主義の役割からNGOがその担い手となっている。トランスナショナル関係の波及は国際ネットワークの形成を促進しており、そのことがエスニック集団の世界政治への関わりをも想起している。その活動は、国家の属性に依存しないだけに、国家中心の視点に対する代替物を提供している。少数民族の自決は現存の国家枠組みを超え、国民国家の変容、分解過程が始まっていると見ることもできる。そしてより広範な統合へと向かっているとも考えられる。 |
参考文献 | ||
『人間的国際社会論』 | 浦野起央 | 勁草書房 |
広告 人間的国際社会論 |
講評
適切にまとめられたリポートになっております。特に、最後の国際社会の変容について十分に論じられております。その記述内容から、課題が求めていることに対する十分な理解がみられます。全体の論理構成とその展開も適切です。 |
課題 グローバル共同社会と共生社会の視点について述べなさい。
これまで国際関係は、ヨーロッパの「拡大」思想すなわち科学技術の発展、産業主義の進展に依存してきたが、現在その思想は限界にある。なぜなら人類の存続のためには、社会経済が運用できる再循環システムの形成が不可欠である。つまり、生活のために必要な物資を自由に調達できる「共有地」が必要である。しかし、その共有地の潜在的使用者の間でも生存競争が高まり、ついには共倒れとなってしまう。ガレット・ハーディンは、これを「共有地の悲劇」と名付けた。 このように現在、資源・環境・人口・経済・情報・安全などの問題が地球的規模に拡大している。こうした国際社会の複雑化と構造変動の時代への突入は、 17世紀以来のウェストファリア体制から、地球を一つのシステムと考える世界システムのパラダイムへの変換に立脚している。この視点と新しい秩序の構築とは、グローバリズムである。グローバリズムが生まれてきた背景には地球的規模で、@コミュニケーションの科学技術の発達により世界が縮小し人間の生活も国家枠を越えて拡大・複雑化し、Aトランスナショナルの国際主体が登場し相互交流が行われ、B「一つの世界」という世界システムが成立し問題解決の枠組みが登場してきている、という認識が高まってきたからである。 なぜなら時間距離にして現在、地球は 1日の行程(時間)距離になり、さらには情報革命によって、グローバルな外国為替市場、商品市場、株式市場などが地球上のどこかで24時間常に行われているという事実である。つまり社会経済空間革命といわれる空間の克服によって、あたかも地球は一つの邦になってしまったという時間的・空間的認識をもとにして、私たちがグローバル構想力をどこまで持てるのか、ということである。これに対し国家はもはや人間活動のただ一つの単位ではなく、その閉鎖性や排他性は機能を低めてきている。人々の国家をめぐる意識も多元化している。それは国家内外の環境への帰属性を深めているからである。つまり、個人、集団、国際組織、NGOなど国家が相対的かつ並列的な存在へと移行してきている。また国家存在のモデルも変容し、国内問題の国際化も進行している。国家間政治も国際主体の多様化に伴い地球政治へと移行するなど、国家中心の国益に従うゼロサムゲームから変容してきている。 こうして新しい世界秩序の形成が模索されている中、これまでの問題解決あるいは調整というだけでなく新しい世界秩序の樹立、すなわち創造的平和への取組みがなされている。 そもそも国際政治の歴史は、戦争と平和の歴史であった。しかも平和の概念そのものが著しく多元的であり、民族、文化、階級、歴史、国家それぞれによって定義が異なる多様な価値概念であった。 1970年代に入ると、これら平和の価値の多元性が文化の違いによるものと確認されるとともに、これを前提にして、これまでの大国中心の平和観による平和と秩序の強制に対する反発から、創造的平和という視点が生まれてきた。つまり覇権国家による秩序形成から、人間中心の平和研究へと座標が移ってきていて、生態系の安全と平和といった環境問題への着目や、草の根からの非暴力としての反体制変革へ向けての取組み、宗教と国内紛争といったこれまでにない紛争次元への視点が求められている。 すなわち、個人(草の根)と地球を結ぶ連携という3つの次元の理論化と実践である。つまりこれまでの秩序に対する、草の根の運動によるローカルな土着的視点からの見直しと地球的問題群としての把握にしたがうグローバルな視点からの見直しという、二重の取組みをどのように繋げていくかが求められている。 また人類は 1960年代以降環境保全を共通の歴史的課題として認識し、共同行動を取るようになった。産業革命以降人類は経済発展を限りなき目標として進んできたが、環境問題が人間生活へ深刻な被害を与えるという状況になったからである。そして、環境は人類の生存と性格の基礎条件であって、人類共通の財産であるという考え方が定着してきている。なぜなら、環境は共同性かつ排他性で、しかも歴史的ストックで再生不能であり、地域固有財だからである。共生社会とは、産業生産性を至上主義とする競争原理に立脚した産業社会に代替えして、人間と環境の交際を原点とした社会の存在で、自由、公正、および自立的労働をその基本的価値としている。それは規模の臨界点を越えて過剰発展となった産業社会からの脱皮を意図していたもので、適正規模の社会への移行を展望し、その達成を目指すものである。それゆえ地球環境問題は、この視点において克服できるものである。 |
参考文献 | ||
『国際関係のカオス状態とパラダイム』 | 浦野起央 | 勁草書房 |
広告 国際関係のカオス状態とパラダイム |
講評
一定のまとまりをもった記述となっており、合格とします。8〜10ページ(すなわち、・・・以降)にかけての記述をもう少し書き込めば、より完成度の高いリポートになった。( )内は森野注 |
スクーリングを受講し「スクーリング試験」で所定単位を修得したので、「科目修得試験」は受験していません。(^^;) |
講義テーマ | 国際政治学 | 担当者 | 佐渡友 哲 | (敬称略) | |
講堂 | 法学部 2号館 | 受講者数 約70名 | 夏期 前期 午前 |
スクーリングのノート (pdf ファイルです。) | |||||||
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